整形外科専門医とは?

私が大学を卒業する際に、大先輩の消化器外科の先生から、「整形外科はレントゲンを見れば診断できるので簡単」と言われました。
今でもこのように考えておられる医師や一般の方は少なくないかも知れません。
しかし、レントゲンで診断するにしても「診る目」が当然必要であり、MRIを撮れば症状の原因が全て分かる訳ではありません。
整形外科が担当する部位は広範で、多数の疾患が存在し、他科と比較して少なくとも同等の幅広くかつ奥深い知識が必要です。

整形外科専門医を名乗るにしても

[1] 6年以上の研修期間を有すること(臨床研修期間を含めてもよい)
[2] 日本整形外科学会の認定した研修施設での研修3年以上を含む4年以上の整形外科専門研修を修了していること
[3] 整形外科研修記録に掲載された整形外科卒後研修ガイドラインに示された研修を修め、整形外科専門医の評価を受けていること
[4] 主著者である論文と主発表者である学会発表、各1編以上
[5] 申請時までに日本整形外科学会が主催する骨・軟部腫瘍特別研修会の受講3単位と医療安全に関する研修単位3単位以上を含む、必須14分野の認定教育研修講演等を計30単位以上受講する
[6] 申請時に4年以上引き続き正会員であること

という日本整形外科学会が定めた資格基準を満足した上で

[a]120問、試験時間180分の筆記試験
[b]受験者l名に対し試験官2名による15分間の面接を2回

からなる1年に1回だけ行われる専門医試験に合格する必要があるのです。
この試験が当然ながら簡単とは言い難いもので、本気で勉強しないとおいそれとは合格できません。

また、一旦専門医となれば一生資格が保証される訳ではなく、おおよそ1時間の教育講演を聴講すると1単位得られる単位を、5年間で50単位以上取得して、5年ごとに資格を更新する必要があるのです。

現役の整形外科専門医は、こうして努力の結果資格を獲得した上で、更に研修を重ねて資格を維持しています。
医師免許証を取得しさえすれば、診療科目は何科を標榜しても良いのですが、資格を持っている者だけが「整形外科専門医」を名乗れるのであり、我々整形外科専門医は自らの業績に誇りを持って「整形外科専門医」を名乗っているのです。